インボイス登録はいつまで?2025年対応の全手順と簡易課税・補助金の活用法【フリーランス・中小企業必見】
2023年10月にスタートしたインボイス制度。
開始から1年以上が経過し、2025~2026年は制度運用の定着と実務対応の最終調整が必要な年です。
特に、これから「適格請求書発行事業者として登録したい」「簡易課税制度を使って納税負担を軽くしたい」と考える中小企業・フリーランスにとっては、登録期限と届出スケジュールの把握が非常に重要になります。
本記事では、
・インボイス登録の最新スケジュール
・簡易課税制度の提出期限
・フリーランス新法や補助金活用
といった2025年対応で押さえるべき実務ポイントを徹底解説します。
インボイス制度の基本をおさらい(前回記事の要点)
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、仕入税額控除を正確に行うための新しい消費税ルールです。
これにより、取引先が消費税の控除を受けるためには、「登録番号付きの請求書(インボイス)」を保存することが原則必須になりました。
つまり、「誰が、どの税率で、どれだけの消費税を支払ったか」を明確にする仕組みです。
免税事業者は登録しない限りインボイスを発行できず、取引先から控除対象外となるため、登録判断が事業継続に影響することもあります。
制度全体の概要と免税事業者の登録判断の考え方については、以下の記事をご覧ください。
➡ 【関連記事】インボイス制度で経理はどう変わる?中小企業・フリーランスが取るべき実務対応と今すぐできる準備【2025年版】
適格請求書発行事業者の登録手続きと提出期限【2025年最新版】
登録の基本手順
インボイス登録は、e-Tax(電子申請)または税務署への紙提出で行えます。
手続きの流れは以下のとおりです。
- 「適格請求書発行事業者の登録申請書」を作成
国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問2参照。 - e-Taxまたは税務署へ提出
- 審査後、国税庁から登録番号が通知
国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問3参照。 - 登録番号は「国税庁インボイス公表サイト」で確認可能
申請から番号の通知までの期間は通常1か月〜1.5か月程度(電子データでの通知を希望すると1か月、書面では1.5か月)。
登録日以降からインボイスを発行できるため、登録希望日の少なくとも1か月前の申請が安全ラインです。
提出期限と登録日の関係
登録を受けた日からインボイス発行が可能です。申請から登録まで15日程度かかります。登録からから通知まではさらに15日~1か月前後を見込みましょう。
登録日以前の請求書はインボイスとして扱えません。
国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問5参照。
- 2026年4月からインボイス発行を開始したい場合 → 2026年3月上旬までに申請
- 3月決算企業が翌期初日から開始したい場合 → 1月〜2月の申請が理想
登録が遅れると、取引先の仕入控除不可など実務トラブルにつながります。通知までに時間差があるため、登録希望日は余裕をもって設定しましょう。なお登録番号の通知前であっても、後日書面等で登録番号を通知すれば問題ありません。
国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問36参照。
新設法人・新規開業者の特例(重要)
新設法人・開業間もない個人事業主は、「事業を開始した日の属する課税期間の末日」までに登録申請をすれば、設立日から登録を受けたものとして扱われます。例えば下記の3月決算法人ならその年の3月31日までに登録申請を行えば設立日の11月1日から登録を受けたものとみなされます。

出典:「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問11
提出すべき書類:
- 課税事業者選択届出書(2029年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、経過措置により不要)
- 適格請求書発行事業者の登録申請書
この2つをセットで提出することで、開業時の混乱を防げます。
免税事業者が途中で登録する場合の注意点
免税事業者が途中登録した場合、登録日以降の売上が課税対象となります。
登録日を取引先へ事前通知しておくことが実務上重要です。
国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問7、問8参照。
いずれの場合も、一度登録すると2年間は継続が必要で、取り消す際は「取り消したい課税期間の初日から起算して15日前」までに届出を行います。

出典:「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問13
届出期限のまとめ
- 原則:登録希望日の15日前まで
- 新規開業:事業を開始した日の属する課税期間の末日まで
- 取りやめる場合:やめようとする課税期間の初日から起算して15日前(つまり前課税期間の末日の15日前)まで
簡易課税制度選択届出書の提出期限と判断ポイント
簡易課税制度とは
簡易課税制度は、消費税の計算を簡略化し事務負担を軽くできる仕組みです。
基準期間の課税売上高が5,000万円以下であれば利用可能で、実際の仕入額ではなく業種ごとの「みなし仕入率」で計算します。
たとえば、サービス業(みなし仕入率50%)の場合、売上1,000万円に含まれる消費税100万円のうち、50万円を仕入控除として計算できます。
業種別のみなし仕入率(例):
- サービス業:50%
- 卸売業:90%
- 小売業:80%
詳しくは国税庁のタックスアンサー「No.6505 簡易課税制度」参照。
提出期限と注意点
簡易課税を適用したい課税期間の開始前日までに届出が必要です。
ただし開業直後や免税から課税事業者になるケースでは特例が適用されることがあります。
届出期限のまとめ
- 原則:課税期間開始前日まで
- 新規開業:事業を開始した日の属する課税期間の末日まで
- インボイス制度特例:免税事業者が2029年9月30日までに登録した場合は、その登録日の属する課税期間の末日まで(下図参照)

出典:「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問9
簡易課税を選ぶかどうかの判断材料
簡易課税は、経費の少ない業種(士業・デザイン・ITコンサル等)に有利です。
一方で原価率が高い業種では、原則課税の方が有利になることもあります。
なお、一度選択すると2年間変更不可です。大規模な設備投資を予定していたり業績変動が大きい事業者は慎重な判断が必要です。税理士による試算やシミュレーションを活用しましょう。
フリーランス新法とインボイス制度の関係
2024年施行の「フリーランス保護新法」により、企業はフリーランスへの報酬内容や支払期日の明示が義務化されました。
この流れは、インボイス制度と同様に取引の透明化と法令順守の徹底を目的としています。
インボイス登録により、請求書への登録番号や税率区分の明示が進むことで、フリーランスが正当な報酬を請求しやすくなるという側面もあります。フリーランス新法が制定されることになった理由の一つに、インボイス制度があげられます。
フリーランス新法において禁止される行為には以下のようなものがあります:
- 免税事業者であることを理由に報酬から消費税分を減額する、値上げに応じない(フリーランスの責めに帰すべき事由のない報酬の減額)
- 発注側が一方的に課税事業者になるよう強要する(正当な理由がなく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制する)
こうした優越的地位を利用した不公正取引を防ぎ、フリーランスが安心して働ける環境を整えるのが目的です。
契約書・請求書テンプレートを見直し、登録番号・消費税区分を正しく記載しておきましょう。
IT導入補助金で会計・請求書システムを整備する方法
インボイス対応ソフト導入を支援する補助金とは
「IT導入補助金(インボイス枠)」は、インボイス制度や電子帳簿保存法へ対応するためのクラウド会計ソフト・請求書ソフトの導入を支援する補助金です。
2025年度も継続が予定されており、それぞれ別枠ですが、補助率最大4/5、補助上限最大350万円という非常に手厚い制度となっています。
なお、ハードウェアへの補助は制限があり、
- PC・タブレット等は上限10万円
- レジ・券売機等は上限20万円
に抑えられています。
そのため、この補助金の本来の目的は、
インボイス制度に対応したソフトウェアと、その周辺環境の整備を総合的に支援すること にあります。
具体的には以下のような費用が補助対象になります。
- 会計・請求書・受発注・決済の機能を備えたクラウドソフト本体
- データ連携・セキュリティ強化などのオプション
- 導入コンサルティング費
- 保守・サポート費用
単なるソフト購入ではなく、インボイス制度に適切に対応するための “業務全体のデジタル化” に対して補助される点が特徴です。
対象となる代表的なツール:
- マネーフォワードクラウド
- freee
- 弥生会計 など主要クラウド会計・請求書ソフト
補助金活用の流れ
- 補助金対象ツール提供事業者を選定(例:マネーフォワード)
- 導入計画を作成・交付申請
- 採択・導入・実績報告
- 補助金受給
詳しくはマネーフォワード「IT導入補助金をお考えの事業者の方へ」参照。
クラウド会計での一括対応のすすめ
マネーフォワードクラウド会計+請求書を導入すれば、
インボイス発行・税率区分自動判定・電子帳簿保存法対応まで一括管理可能です。
補助金を活用すれば、コストと業務負担を同時に軽減できます。
専門家による導入サポートのご案内
村石英之税理士事務所では、
インボイス登録申請・簡易課税届出・補助金申請までをワンストップでサポートしています。
- インボイス登録申請の代行
- 簡易課税制度のシミュレーション
ぜひ一度お気軽にご相談ください。税理士顧問契約につきましては初回のご相談は無料です。専門家の視点から、安心して運用できる体制づくりをお手伝いいたします。
なお、顧問契約までは不要でも相談がしたい、という方は個別相談、メール相談をご利用ください。
※本記事は制度概要と実務上の注意点を整理したものであり、個別の判断には税理士等専門家への相談をおすすめします。
東京都大田区で、マネーフォワードクラウド会計をはじめとするクラウド会計ソフトを活用した税務・会計サポートを行う税理士です。
フリーランス・個人事業主・小規模法人の方、特に開業したばかりで「経理が追いつかない」「税金のことが不安」と感じている方の味方です。専門用語はできるだけわかりやすく説明し、クラウド会計を活用した効率的な経理や節税のアドバイスも行っています。安心してご相談ください。

